マキノマシンケアパッケージ 開発秘話

従来の年一回の点検サービスをリニューアルし、点検項目のきめ細やかなカスタマイズが可能になった「マキノマシンケアパッケージ」。
その開発にはどんな思いが込められており、お客様にとってどのようなメリットがあるのか?開発プロジェクトのキーマン2名にお話を伺った。

北浦 進/菅原 貴史

開発プロジェクト キーマン

事業企画部 課長 北浦 進
国内サービス部 厚木サービスセンタ 係長 菅原 貴史

※役職はインタビュー当時

新たな点検サービス『マキノマシンケアパッケージ』について開発の背景を教えてください。

北浦 進/菅原 貴史2

菅原 従来から〝年次点検サービス〟はありましたが、なぜか広まっていかないことに悩んでいました。なぜなのか考えたところ、同じ機種でも個々のニーズによって加工内容が変わってくるのに、型にはまっただけの点検では目が行き届かない点があるのだと気付きました。メンテナンスの目的は機械を安定して稼働させることですから、もし、お客様毎にカスタマイズができたら安心してサービスを受けやすいのではないか、という考えに行き着いたのです。

機械が止まれば機会損失が発生します。
予防するためにも機械の点検はとても重要ですので、マキノとしてもここは知恵の出しどころですね。

菅原 年次点検サービスを解約されたお客様に解約の理由を尋ねると、「成果が乏しい」、「割に合わない」など残念な言葉のほか、「点検が終わって、紙を渡されて終わる」という表現をされるお客様もいらっしゃいました。

北浦 お客様に「マキノが定めた点検内容を、マキノがやって、マキノが報告して帰る」というパターン化された素っ気ない印象を与えているのかもしれないとハッとしました。これはなんとかしなければならないと感じ、開発に踏み切ったのです。

確かに製造現場が個々に違うぶん、お客様のニーズも変わり一辺倒ではないと思います。
「故障はありません」と言われても疑心暗鬼になるかもしれません。
お客様にはヒアリングやアンケートを実施されたようですが、結果はいかがでしたか。

菅原 ご不満の内訳は、点検内容についてが6割、コストについてが3割、その他が1割という結果でした。

この厳しい結果を踏まえて、『マキノマシンケアパッケージ』が誕生したのですね。
年次点検サービスと比較して進化したポイントを教えてください。

北浦 進/菅原 貴史3

菅原 個々のお客様でトラブルの発生が違うことをしっかり認識するため、カテゴリ分けをして、お客様毎にそれぞれの情報やサービスを提供する〝パーソナライズ化〟を実施しました。今までの点検は、お客様から「主軸点検に来てほしい」と言われて伺うような受け身体制で点検に伺っていたのですが、今ではお客様の過去のトラブル履歴や稼働状況をもとに、マキノ側からお客様専用の点検プランをご提案できるようになりました。ここが一番進化した点です。また、点検項目では作業者の感覚といった漠然としたものをしっかり数値化して提示できるようになったので、お客様の理解も増したことは大変良かったと思います。

お客様に合った推奨プランをご提案できるようになったのですね。

北浦 部品加工と金型加工、それぞれのお客様によるニーズの違いを例にとりますが、部品加工は精度よりも早さ重視、金型加工は早さよりも精度重視といった違いが出てきます。加工はデリケートですから、同じ機種であっても、どの材料を削るか、どういうジャンルに属しているかで点検すべき内容が変わります。パーソナライズ化が実現できたことでお客様の機械に合わせたベストな点検をご提案できるようになり、機械の安定稼働が実現したことでお客様の生産を守ることが実現し、常に嬉しく感じています。

これから『マキノマシンケアパッケージ』に新たな意見があればチェック項目が増えるなどの可能性もありますか。

北浦 現在進行形で変更を加えています。具体的には2週間に1回、開発メンバーで集まって、共有・改善を継続しています。
また、協議のうえで「標準項目ではない」とした点検項目についても、捨てずにオプションとして選択できるようにしました。開発メンバーから意見が上がるということは、お客様からの要望もあるということなので、意見を生かすようにしています。現場の苦労を防ぎたいというメンバーの思いがこの商品に詰まっています。

開発にあたって1番こだわった点を教えてください。

菅原 100通りのお客様に100通りの点検が出来るよう目指しました。想定される要望に合わせて項目が選択された5パターンのほか、フルで自由選択が出来る点にこだわりました。「この点検を実行すれば機械は止まることはありません」とお客様に言いきれるくらいの出来になったと自負しています。

『マキノマシンケアパッケージ』を活用されたお客様の反応はいかがでしたか。

北浦 進/菅原 貴史4

北浦 突発的な修理を減らすことにより安定稼働が実現できますから、圧倒的に「こういうのを待っていた!」というお喜びの声が多いです。

菅原 嬉しいことに、「パーソナライズ化された点検サービスを実行しているのはマキノしかない!」という声もいただいています。

北浦 フィールドサービスエンジニアが顔なじみのお客様の工場に伺う点も親しみやすいのだと思います。「いつも来てくれるエンジニアが提案してくれるので安心感が違う」とおっしゃるお客様もいらっしゃいました。

現在もサービス改善を重ねられているということですが、新たな機種への展開は考えていますか。

菅原 はい。ありがたいことにお客様から要望をいただいております。

北浦 フィールドサービスエンジニアからの意見を吸い上げ、日々改善しておりますが、機種展開も進めていく考えです。

最後に『マキノマシンケアパッケージ』の導入を検討されているお客様に向けて、メッセージをお願いします。

北浦 お客様と一緒になって点検の内容をつくっていきたいとの思いがありました。例えばV33iの5000号機があるとします。マキノはV33iの生みの親ですが、5000号機を毎日活用されているお客様は5000号機の育ての親とも言えるでしょう。ですから、毎日5000号機と向き合っているお客様のほうが5000号機についてよく知っているのは当然のことなのです。その「個」の5000号機に詳しいお客様と、V33iの修理技能をもったマキノが融合して機械に見合った点検を実行していくことができれば、さらに強い製造現場が生まれます。機械が止まれば製造が止まってしまいますので、機会損失が発生します。お客様にそんな悲しいことが起きないよう、マキノはデジタルを活用し、お客様の過去データをもとにパーソナライズ化した点検プランを提案することにしたのです。
『マキノマシンケアパッケージ』はあくまでも手段であって、その先にある「機械を止めない」ことが狙いです。お客様の利益向上に貢献するのがマキノの最大の目的です。

菅原 お客様には、まず試していただきたいですね。個人的には点検サービスを文化にしたいとの思いがあります。1度サービスを受けていただければ、従来の年次点検サービスとの違いも分かりますし、機械が止まらなくなる喜びを間違いなく実感していただけると確信しています。我々が考え抜いた技術とサービスには自信があるうえ、日々更新していくのでどんどん進化し、良いものになっていくことを実感しています。マキノの機械は長年の歴史に培われた技術を礎とした高い精度に定評があります。優れた機械は1~2年で交換するものではなく、数十年と使い続けるものですので、継続してメンテナンスをしていただかなければ点検サービスを受けていただく意味が半減してしまいます。計画的に保全を行えばマシンダウンが最小限になるので機会損失を減らし、そのぶん利益確保につながると確信しています。

ページTOPへ