ベテラン フィールドサービスエンジニア インタビュー

お客様の課題解決のため、機械の安定稼働のため、日々奔走するフィールドサービスエンジニア。
長年マキノで活躍してこられた、カスタマーサポート本部の三浦 勇さんにその原動力を伺いました。

三浦 勇

三浦 勇 (ミウラ イサム)

1979年 牧野フライス製作所に入社
・電気科(:牧野電装)へ配属。その後、生産技術を経て、牧野技術サービスへ
・国内営業所のほか、中国、韓国、シンガポール、台湾でフィールドサービスエンジニアとして活躍
IoTセンタにてお客様のコール対応に従事
・現在は、カスタマーサポート部 技術支援担当スペシャリストとして、豊富な経験を活かし、次の世代にアドバイスや知識の継承を行っている

IoTセンタはお客様のご要望やお困り事を解決するための窓口となりますが、
どういったご相談内容が多いですか。

三浦 勇2

三浦 お客様からの最初のアクションはコールセンタが受け付けますが、6~7割が「機械が止まってしまった」などのお困り事で、その他は部品のお問い合わせを含めた様々なご相談です。
わたしが入社した頃は、「マキノの機械を設備していれば仕事が入ってくる」と言わしめたほど、マキノの機械を設備している金属加工業の皆様にとってステイタスだったのです。設備されたお客様は大切に大切に機械を活用しており、時代が変わってもマキノファンでいてくださいます。根強いファンの期待にお答えするべく、フィールドサービスエンジニアはお客様と真剣に向き合い、対応していかなくてはなりません。

お客様はものを加工することによって利益を上げるのが商売ですから、
工作機械への期待は大きくなります。

三浦 お客様は、マキノの機械について、われわれ社員が思っている以上に期待をしてくださっています。その大きな期待に応えるためにも、私たちは培ったノウハウをご提供し、お客様への対応力を最大限に強化していくことが重要だと考えています。マキノの機械を信じて期待をしてくれる大切なお客様に対して努力でお応えするのではなく、結果でお応えしたい。常にスキルアップをしてお客様が本当に喜んでくれるための付加価値を追求していくことを当たり前のこととして捉えています。

お客様の質問などに対して他部署に意見を求めることもあると思います。

三浦 もちろんです。マキノグループの成長は、一貫して加工精度と工作機械の品質に重点をおいて来たことにあります。部署を超えて、被削材に対しての最適な切削条件を見つけるためのノウハウを聞いたり、工具を借りたりするなど、お客様のことを思えば自然とそういう動きになります。お客様のご要望に誠意を持って対応するためには、知識と技術が必要ですから、毎日が勉強です。

仕事をしていて思い出に残るエピソードはありますか。

三浦 勇3

三浦 昔の話ですが、他社の機械がメインのお客様が高速立形マシニング「V55」をご購入されました。お客様にとっては初めてのマキノ機です。操作説明でお伺いした際に、他社の工作機械のお話をされ、「マキノの加工精度は?」うかがわれました。「大丈夫です、問題ございません」とお話しすると、「それは本当ですか?」とおっしゃっておられましたが、暖機運転後のテスト加工で、お客様がご満足できる精度を示すことができたのです。この様子に驚いたお客様から、「さらに精度を良くする方法はあるのですか?」とご質問がありました。周囲を見渡すと機械の近くにエアコンがありましたので、天井カバーを取付けることをご提案し、その場をあとにしました。それから1~2週間後に訪問すると、すでにカバーが取り付けられており、嬉しいことにそれからすぐにもう1台、追加注文をしてくださったのです。この出来事がきっかけで、このお客様はそれからずっとマキノオンリーの根強いファンでいてくださっています。

誠実な対応が評価につながったのですね。
この当時は便利なITシステムもなかったので大変だったと思います。

三浦 今も昔もポリシーは、〝お客様の機械を止めないこと〟です。止まってしまったら、即、動かしに行くことが重要なのです。現在、ITを活用したデジタルシステムを取り入れていますが、訪問や電話なども含め、お客様のご要望に沿った幅広い対応を心がけています。昔はご指名でお電話が来ることもありましたが、システムもどんどん進化しています。重要なことは、システムがなんであれ、カタチは変わったとしてもお客様と密な関係を築いていくことです。

お客様の生産性を向上させるための大切な心得ですね。

三浦 お客様は機械が1時間動けばそのぶん稼ぐことができます。例えば2週間稼働すれば数百万円もする金型を製作することができるのです。機械が止まるということは、お客様の利益が失われてしまうということにつながります。お客様にもお客様の納期があります。様々な企業が絡んだ工程があるなかで、マキノの機械のためにお客様の納期を遅らせるわけにはいかないのです。

部品がないなど困った時もあったと思います。どう乗り切りましたか。

三浦 勇4

三浦 ありとあらゆる部品を駆使して何とかしてお客様の機械を「今日中に動かす!」という信念がありました。自分の仕事に対して責任を感じていましたので、自分で考えて開発に確認し、時には自ら仮の回路を組むこともありました。現在は、全てのフィールドサービスエンジニアが速やかに動けるよう、IT、デジタルシステムを使用して情報の共有化を促進しています。重要なことは〝自分で実行したことは自分が責任を持つ〟という心がけです。この考えなくしてお客様の信用を得られることは難しいでしょう。国内外の多種多様な工作機械が市場に出ているなかで、様々な評価を聞くことがありますが、「やっぱりマキノはサービスがいいね。安心して使える」と言ってくださるお客様がいることは非常に嬉しいことで、私自身、励みになります。

システムも含めものすごい勢いで技術は進化しています。
スピーディに業務をこなすにはどういった点に気を遣われていますか。

三浦 常に知識をアップデートしていくことでしょうか。大変ではありますが、知識をつけていくことは楽しいことです。知識が増えれば、対応できる選択肢が増えていきます。今でも学生時に学んでいた電子工学、プログラミングなどは役立っています。製造現場において機械が止まってしまうことは死活問題に直結します。われわれフィールドサービスエンジニアは、この重大な場面に直接向き合っており、目の前に直さなければならない機械があると、夢中になる。そこに老いも若いも関係はないのです。どうにかして直そう、なんとかして動かそうと、その一心です。お客様からの「ありがとう」の一言で、嬉しくて苦労がふきとびます。ああ、直せて良かったな、喜んで頂けて良かったな、としみじみ思う瞬間です。

昔は機械の予防保全というとベテランの出番でした。

三浦 直した後は再発しないように、お客様に予防保全をご提案することは大切なことです。機械の音を聞けばあと何年で交換が必要なのかが分かるので、経験による予知保全もありましたが、さらに、今では『マキノマシンケアパッケージ』にて、ベテランの暗黙知や経験に頼っていたところがよりハッキリと分かりやすく〝見える化〟しています。熟練者でも気づかなかったところや数値にも着目してチェックシートが作られており、従来、感覚で捉えていたものを可視化しているので、理論的にもお客様にしっかりと寄り添えるサービスになっています。

予防保全の方法も昔と今では違ってきているのですね。

三浦 時代とともに保全のカタチが変わっても、マキノの中にはお客様ひとりひとりと真摯に向き合う風土が根付いています。工作機械もその技術も日々進化し、新しい技術、新しい製品が次々と生まれてくるので、常に勉強、常に知識のアップデートが必要です。時代が進んでいるのだから、立ち止まったら置いていかれます。常に学び、前に進んでいくしかありません。

三浦SPが思う牧野技術サービスの強みとはなんでしょうか。

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三浦 自分の機械を直すように、お客様に対して親身になって修理にあたることができる点ではないでしょうか。お客様の機械はマキノ製品です。そこに垣根はありません。フィールドサービスエンジニアは、マキノの機械に強い思いを持っていますし、実際にご使用されているお客様は機械に愛着を抱くものです。双方の思いの詰まったマキノの機械に〝あるべき姿〟を取り戻させたい。そんな思いで仕事にあたれるところが弊社の強みだと思います。

日本は災害のリスクも高いのですが、災害時もいち早く対応されていました。

三浦 最近は台風15号がもたらした静岡豪雨にて災害現場に駆けつけ復旧にあたりました。このような対応は今に始まったことではありません。阪神淡路大震災も東日本大震災のときもそうでした。お客様のところに一刻も早く駆けつけ、機械を早く復旧させなければいけないという意識は〝マキノ魂〟とでもいいましょうか。長年にわたり、脈々と受け継がれたDNAのようなものなのかもしれません。

人材育成について考えていることはありますか。

三浦 ITも発達し、デジタルツールを取り入れて便利になってきていますが、技術はもちろん、〝マキノ魂〟を次の世代に託したい。技術の伝承は自分自身の成長につながっていると実感しています。技能は誰か一人に依存するべきではありません。いうなれば、牧野技術サービスは全員が匠です。全体で技量をあげていくことが大切だと思っています。

三浦SPの仕事の原動力を教えてください。

三浦 〝マキノの機械が大好き〟の一言に尽きます。マキノの機械を自慢に思っています。お客様によっては、マキノの機械を指定して部品加工を発注してくださるところもあり、それほどまでにマキノの機械を信頼して期待してくださっています。この信頼や期待に応えるために、どれだけ苦労したか、どれだけもがいたか―――そこが結果としてお客様に伝わるのだと思います。
半世紀近くにわたり、マキノが大きく成長していく過程を見つめながら、ともに歩んできた私にとって、マキノの成長は私の成長そのものです。お客様はマキノに期待し、信頼を寄せてくださっている。これからも、信頼をしていただける牧野技術サービスであるよう邁進していきます。

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