クーラント(切削液)の管理

  • 予防保全

クーラントは切削液とも呼ばれます。切削加工中に加工点にかけることで、①潤滑 ②冷却 ③洗浄の役割を果たします。

①潤滑
 加工ワークと工具の間に膜を作り、摩擦を軽減します。効率的に加工が行えるだけでなく、工具の寿命を延ばすことができます。

②冷却
 高温になった加工点を冷却します。これにより、加工精度を安定させることができます。

③洗浄
 加工点で発生した切りくずを洗い流し、加工の妨げにならないようにします。

クーラントは、切削加工において上記のように大切な役割を果たすものです。一方で、管理を怠るとトラブルの原因にもなります。クーラントを正しく管理することは、機械の安定稼働につながります。

23-01
マシニングセンタには、クーラントを供給・回収するための切削液供給装置が装備されています。(グラファイト仕様を除く)

クーラント容量の確認

・クーラントタンクのレベルゲージの液面を確認し、少ない場合は補給します。

  ※注意※
   上限を超えての補給はしないでください。切りくずがタンクに回収される際、容量オーバーでクーラントが溢れることがあります。

23-02
レベルゲージの設置位置(V33)

クーラントの質の確認(水溶性切削油剤)

・濃度/pH管理
  濃度の低下は、切削性能の低下、腐敗、錆の発生などをもたらします。
  反対に必要以上に高濃度で使用すると、コストがかかるだけでなく、液のゲル状化、発泡、アルミニウム合金(非鉄金属)の変色をもたらし、また、皮膚炎の原因にもなります。
  JIS規格では、JISK2241において、pHが8.5以上10.5未満であるように定めています。

・浮上油の除去
  定期的にクーラントタンク内の浮上油の除去を実施します。
  クーラントには、油分を浮上(反発分離)させる働きがあります。切削液の性能を持続させるためには、この浮上油を定期的に除去することが重要です。
  浮上油の除去を怠ると、これらがタンクの表面を覆って、空気を遮断します。すると、タンク内で嫌気性の細菌が急激に増殖し、クーラントの腐敗が進みます。この腐敗は、悪臭を発生させるだけでなく、油剤成分の消失による諸性能の低下や、配管・フィルタの目詰まりを引き起こします。

23-04

上の状態はクーラントが有効に機能している状態であり、異常な状態ではありません。

23-03
オイルスキマ(オプション)による浮上油の除去

関連記事

ページTOPへ