水溶性切削液のメンテナンス

  • 予防保全

水溶性切削液は切削加工に欠かせません。
しかし、管理を怠ると腐敗し悪臭を発するだけでなく、製品の加工不良につながる恐れもあります。
切削液の性能維持のため、日常的に液状態の確認、濃度管理を行いましょう。

水溶性切削液の安定性維持に必要な条件

-良い状態での使用開始
 機械が汚れていると、張り込んだ新しい液がスラッジや雑菌に汚染されてしまいます。
 切削液を補充する際は、タンク内の清掃を行ってから新しい切削液を張り込んでください。
 

-適切な使用方法(希釈、補充)
 水➡原液の順で希釈を行います。
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 原液投入後はよく撹拌させ、タンクの規定量まで補充する。
 ※間違った手順(原液➡水)で希釈した場合、逆エマルジョンが生成されやすく、切削液がゲル化し溶解困難になります。

 ※水のみの補充はNG!
 水だけを補充した場合、添加剤が補充されないため切削液内の添加剤量が減少し、錆や腐敗の原因となります。
 水溶性切削液85-97%が水で構成されているため、希釈水の水質にも注目しましょう。
 例えば、硬度が高い(硬水)と泡立ちにくく、硬度が低い(軟水)と泡立ちやすくなります。
 泡が立ちやすい、消えにくいことでオーバーフローにつながります。
 硬度が高すぎる場合、エマルジョン、ソリュブルの分離を引き起こす可能性があります。
 また、切削油剤の影響を受けやすく、白濁や浮上物、浮上油等の要因となり得ます。

 ※水溶性切削液を希釈する際は、希釈装置の使用を推奨します。
 <希釈装置を使用するメリット>
 ・濃度が安定する。
 ・エマルジョン粒子が細かく一定になる。
  粒子が粗く一定でない場合、ワークや機械のべたつき、フィルタの詰り、濃度のバラツキの原因になります。

 

-液状態の定期的な確認
 水溶性切削液の濃度管理は最も重要な作業です。
 測定時はクーラント供給ノズルから出てくる液を測定してください。
 (タンク液面の液を測定した場合、浮上油の影響を受けやすい為)
 『 濃度=濃度計での読み×製品の換算係数 』
 
 適正な濃度:5~15%  適正なpH値:8.0~9.4
 <濃度が高い場合>
 ・発泡、べとつき、原液使用量が多い 
 <濃度が低い場合>
 ・加工性能の不足、防錆効果の低下、安定性の低下、pH値の低下、悪臭の発生 
 <pH値が低い場合>
 ・鉄系材質の腐食、安定性の低下、悪臭
 <pH値が低い場合>
 ・非鉄金属の腐食、皮膚障害、発泡


-浮上油の除去
 浮上油の除去を怠ると、これらがタンクの表面を覆い空気を遮断してしまいます。
 その結果、タンク内で嫌気性の細菌が増殖し、切削液の腐敗が進みます。
 切削液の腐敗は悪臭を発生させるだけでなく、油剤成分の種室による所性能の低下、配管・フィルタの目詰まりを引き起こします。
 定期的に浮上油を除去し、切削液の腐敗防止に努めましょう。

 

-切りくず、スラッジの除去
 定期的なクーラントタンクの清掃を行い、タンク内に堆積したスラッジを除去しましょう。
 清掃を怠るとタンク内でスラッジが凝固・固着してしまい、除去が難しくなってしまいます。
 <障害事例>
 ・切削液の吐出不良、ポンプ故障
 ・切削能力の低下、刃物の折損
 ・電食によるタンクの穴あき

24-02-01
メカニカルシール摩耗による切削油漏れ
24-03-01
タンク内で堆積したスラッジ
24-04
電食による錆が発生し、タンクに穴があいた状態

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