送り軸カバー用ワイパの点検

  • 予防保全

ワイパは工作機械の送り軸カバーに設置されている部品で、摺動部の隙間を埋めることで切りくずや異物の侵入を防ぎます。
ワイパは消耗品ですが、機械に障害が発生してからその破損に気づくことも少なくありません。
ワイパの破損を防ぐためには、日常的な点検と適切なメンテナンスが重要です。

ワイパの重要性

工作機械を稼働させ加工を行う際には、鉄や鋳物、樹脂、アルミなどの切りくずが大量に発生します。
また、加工時には潤滑、冷却、切りくずの除去を目的としてクーラントを使用します。
ワイパはカバー内部への切りくず・クーラントの侵入による軸部品のトラブルを防ぐ大切な役割を担っています。

detall35_X軸
a61nx(X軸)
detail35_ワイパアップ

ワイパ(X軸,Z軸)

ワイパの破損によるトラブル事例

機械を長期間使用することでワイパは劣化し、破損することがあります。
そのまま機械を使用し続けると、切りくずやクーラントがカバー内部へ侵入し、リニアガイドやボールねじ、各種配線等の早期摩耗、損傷につながります。

事例① ワイパ,スライドカバーの損傷
ワイパがすり減り、切りくずが噛みこんだことにより、スライドカバーが傷つき、ワイパも損傷していた。
カバーの傷(直線状、へこみ)が大きく、一部ゆがみも生じていたため、ワイパ交換後もワイパが接地しない個所が発生した。
損傷が大きい場合はワイパ交換だけでなく、スライドカバーの交換も必要となる。
adetail35_ワイパ,カバー破損

 

事例② ケーブルの早期損傷
ワイパの劣化により隙間が発生し、クーラントや切りくずが機械内部に侵入。
結果、ケーブルの早期損傷を起こした。

detail35_ケーブル損傷(V77)

 

ワイパの破損原因

摩耗

  • ワイパは摺動部に取り付けられているため、長期間使用すると摩耗し、ワイパの破損につながります。
    特に、硬い切りくずや汚れが多い環境では摩耗が早まります。

異物の付着

  • ワイパに切りくずや異物が付着した状態を放置すると、ワイパに傷や亀裂が生じます。
    そのまま稼働を続けるとワイパの破損につながります。

取付け不良

  • ワイパの変形や取付け部からの脱離につながる恐れがあるため、ワイパが変形しない程度に押し当て、隙間がないことを確認してください。
  • 取付け不良のまま稼働させると、摺動部に過度な負荷がかかり、破損しやすくなります。
    また、隙間があると切りくずが嚙みこみワイパの破損につながります。

経年劣化
  • 十分なメンテナンスを行っていても、日々の稼働によりワイパは消耗します。
  • 劣化が進行するとワイパは破損しやすくなり、破損したワイパは機械動作を妨げる原因となります。

ワイパのメンテナンス

ワイパは摺動部に取り付けられている部品のため、一般的な寿命は短いです。
機械に障害が発生してからワイパの破損に気がつくことも少なくありません。
ワイパの性能と機械寿命を保つため、以下のポイントに注意してメンテナンスを行いましょう。

 

清掃
  • 加工室内の清掃を怠るとカバー部に切りくずが堆積し、カバーの隙間から切りくずが侵入する原因となります。
    切りくずは定期的に清掃し、作業環境を清潔に保ちましょう。
    ※切りくずの除去についてはこちらの記事も参照ください。

点検
  • 日常的にワイパの状態を点検し、切りくずの付着や傷、亀裂がないことを確認しましょう。
  • 切りくずが付着している場合は取り除き、傷や亀裂がある場合は早めに交換してください。
    ※経験豊富なサービスエンジニアがお客様専用のプランで機械を点検します!詳細はこちらから。

交換
  • ワイパは消耗品です。
    ワイパに破損がなくても、一定の使用期間が過ぎた場合は交換しましょう。
    ※機種によって異なるため、交換時期は定期保守説明書をご確認ください。

『送り軸カバー用ワイパ交換』のご紹介

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ワイパの破損はボールねじや軸部品の故障につながります。
安心して機械をお使いいただくために、日常的にワイパの状態を確認しましょう。
異常が見られた場合は新しいものに交換してください。

ワイパの交換は牧野技術サービスにお任せください!

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